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前回までのお話。
→ 「7月末までに退去してください」と言われた日。【立ち退き騒動①】
→ 「望みは何?」と聞かれて、答えられなかった。【立ち退き騒動②】
→ 「朝香、住んでそうだよ?」と言われた街。【立ち退き騒動③】
→ 12ヶ月分って言おうとしたら、15ヶ月分を提示された。【立ち退き騒動④】
立ち退き交渉翌日。
この世に生まれ、
41年を迎えた私の誕生日である。
誕生日だし、
一応、休み希望出しておくかー。
の休みの日w
まさかこの休みを、
引っ越し先探しに使うことになるなんて
思いもしなかった。
そして、アミと待ち合わせし、
谷中銀座で餅を食べ、
いざ!
不動産屋さんへ!!
———カラカラ
『こんにちは。
予約してないんですが、大丈夫ですか?』
「どうぞー」
『ありがとうございます。
引っ越し先を探してまして、、』
そうして、
不動産屋のおばあちゃんに条件をお伝えしていく。
「そうですね…
今あるのは…」
と、年季の入ったファイルを取り出し、
ペラペラとめくり出す。
条件に合うのは、
一件あった。
『なるほど…』
物件の用紙を眺めながら、
悪くはなさそうだなぁ。
と考えてた。
「これから◯◯行くけど、
案内する?」
外からおじいちゃんが中に声をかけていた。
「え?◯◯?」
「条件に合うでしょう!
ちょうど巡回行ってくるところだし、行くなら連れてくけど!」
私たちは外と中と顔をキョロキョロさせながら、
なにごとかと様子をうかがっていた。
「もう一件ね、条件に合うところがあったわ。
これから行くみたいだから、よければ見に行ってみますか?」
こういう展開は
いいことに転ぶことが多い。
答えは
『はい!お願いします!』だ。
おじいちゃんに連れられて、
歩くこと5分ほど。
「ここになります。」
とたどり着いた先は、
なんか可愛らしい古いアパート。
1階と2階、
それぞれ一部屋ずつしかない小さなアパート。
今回空いているのは、その1階だ。
外の玄関横には植物がワサッと植えてあり、部屋の窓からもその雰囲気が楽しめそうで、
気分が上がる。
第一印象は上々だ。
室内へ入ると、
思っていたより、広い。
ちょっと広めのベランダがあって、
古くて懐かしい可愛さのお風呂場があって、
なんか、ちょうどいいぞ。
なんとなくではあるが、
自分が住んでるイメージはつく。
「風通しいいし、
気持ちいいねー!」
『うん。
なんか、いい感じだなぁー。』
不動産屋さんのおじいちゃんは
この部屋のデメリットみたいなのも教えてくれて、好印象。
そのまま、
もうひとつの物件も見に行ってきた。
ここも、広くて古くていい感じ。
私が住んでそうなイメージもある。
だけど…
「ここ、日当たり良すぎて、
あさか死んでるの想像できるぞ。」
へへ。
だよねー。
『それにさ、階段が急じゃない?
キャンプ道具持って、上り下りするのキツすぎるなって…』
そうして、
お世話になった不動産屋さんと別れ、
2人でプラプラと辺りを歩きはじめた。
案内してもらった家の周辺をぐるりと散策だ。
『やっぱこの辺いいよなー
え?
私、谷中に住むの?』
「えーあんた谷中に住むの?
やばーーーいいなぁー!」
お寺さんに
こじんまりした雑貨屋さん、
思わず足を進めたくなる古本屋さん。
すれ違う異国の観光客。
ここに、
私は住む?
めちゃくちゃ興奮するじゃん。
心は、
1軒目に内見したお部屋に持っていかれてる。
でも…
もう一度、
本当にそこでいいのか…
見ておきたい。
『もっかい、あの部屋見たいな!』
「おお
行ってみよ!見せてもらおうよ!」
あの不動産屋さんの扉を開き、
『すみません、もう一度、あのお部屋見せてほしいです』
こうして、この日2度目の
同じ部屋へ。
最初に見たときより、
じっくり、
しっかり、
この部屋に住む私を想像する。
ここにベッド置いて、
ここにテレビ置いて、
クローゼットが狭くなるから、収納を考えないとな…
うん。
やっぱいいな。
『あとは、私自転車あるんですけど、駐輪場とかってないですよね?』
「ないんですよね。
ちょっと聞いてみましょうか?大家さんに。
すぐそこなんですよ。」
と、部屋を出て、向かった先はお向かいの家。
——ピンポーン
「あ、不動産屋です。
今、◯◯の内見に来てましてね。」
「はいはい、どうも」
と現れたのは、
ぷくぷくとした可愛らしいおじいちゃん。
この人が大家さんか…
いい感じそうなおじいちゃんだ。
(ジジババ好き看護師の血が騒ぐw)
「自転車?
そこら辺に置いていいよ。
みんな、道端に置いてるでしょう?」
自転車問題クリアーw
どうやら、この一帯は、
この大家さんの土地らしく、
大家さんがOKなら、OKなのだという。
こうして、
大家さんとの挨拶も済ませ、
不動産屋さんは先に自転車で帰っていった。
「どうすんの?」
『うん、
ここにするわ。』
「おお!いいじゃん!」
『うん…
え、本当にいいのかなぁ?
順調すぎん?
展開早すぎん?』
「いや、まあ、
早すぎるよなw」
心では決めた。
けど、
昨日の今日で?
決めていいのか?
こんな早くに見つかることある?
と、戸惑う気持ちも大きく、
『あみー
ここだって、背中押してくれよー』
なんて、頼んでいた。
「ええーーー
そうだなぁーーー」
気づいたら、
うやむやした気持ちで不動産屋さんの前に立っていた。
『はぁーーーーどうしよーーー
いいよねぇーーー??』
ここまで来ても、
最後の決心がつかない私。
すると、
私たちの横をスルリと1人の女性が。
——ガラガラ
「すみません。
先日の物件なんですけど…」
「ああ!
あれねぇ、もう他の方に決まっちゃったんですよ。」
その会話を聞いた私たちは、
のちにその瞬間のことを、
『あれは完璧に背中押された』
と話している。
もう、迷いなんてなかった。
『◯◯に決めました!』
つづく。
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